中世写本やドイツの公式書体で使われたオールドイングリッシュ、別名ゴシックやブラックレターとも呼ばれるこの書体は現代でもカリグラフィ書体として認知度が高い印象です。その歴史は長く、ヨーロッパ人が羊皮紙に文字を書いていた頃から存在しています。
写本時代は聖書などの本文に使われている印象がありますが、20世紀初頭では証明書や修了書のタイトル部分など文字を目立たせたい箇所に使用されており、あまり本文むきの書体ではないような印象を受けます。
そんな角ばったフォルムが特徴的で、中世を思わせるこの書体にはどのような歴史があるのでしょうか??オールドイングリッシュ(ブラックレター)について考察していきます。
ブラックレターはどのようにして生まれた?
戦争が繰り返されるヨーロッパでは、8世紀頃にフランク王国のカール大帝が西ヨーロッパ(現在のフランス・ドイツ・イタリアあたり)の統治に成功し、ほぼ全域を領土に納めたと言われています。文化面でも熱心だった彼は、専門家に書体を開発させ、フランク王国内で使用する文字を統一するよう義務づけたそうです。
そうして作成されたカロリン体は読みやすく、書類や聖書の制作など幅広く使われていたようですが、この書体がブラックレターの前身と言われていて徐々に文字の形が変化していったと言われています。
当時ヨーロッパで紙は容易に手に入るものではなく、主に使われていた羊皮紙の制作には手間と日数がかかっていて値段も高騰していたそうです。カロリン体は可読性に優れた書体でしたが文字の加筆には一部時間がかかり、余白も多く生まれていました。
一方でさまざまな書類の制作は需要が高まり、写字生たちはより安価により早く文字を書く必要があったようなんですね。そこで余白を最大限なくして敷き詰めて書けるように文字の形が変化して行ったのではないかと言われているそうです。文字が密に重なることで紙面が黒く塗りつぶされるように見えることから書体名を表すひとつの言葉としてブラックレターという名前が生まれているみたいです。
これは中世時代のカリグラフィ展示に行った時の写真ですが、ブラックレターがとても小さく密に書かれています。写真左下の指は、紙から少し浮かせているので遠近効果もあるかとは思いますが、それにしても極小の文字ですね・・・。
この時代はスチール製のニブはないのでクイル(羽)を自分で削ってペンにして書いていると思いますが、どんな集中力なんでしょうか。。。汗
とにかくこのように紙を最大限無駄にしないように文字をびっちりと書くのがブラックレターの特徴のひとつといって良いと思います。
文字の考察
Capital / 大文字 エックスハイト:8 ペンアングル:基本30度
Small Letter / 小文字 エックスハイト:4.5 ペンアングル:基本30度
・・・加筆途中・・・