ファンデーショナル体

モダンカリグラフィの基礎 ファンデーショナル体について考察する

カリグラフィはどの書体から学べば良いのでしょうか?

自分の好きな書体から学ぶ。それもひとつの選択肢ですし実際自分もそうでした。ただもし自分が初心者の頃に戻ってもう1度学び直すとしたらファンデーショナル体から学びはじめるかもしれないと思います。その理由を考察していこうと思います。

初心者が文字のファンデーション(基礎)を理解するために設計されている

エドワード・ジョンストン
エドワード・ジョンストン

ファンデーションという言葉には「基本」や「土台」のような意味があり、後世の人たちが初期段階で学ぶべき書体として20世紀初頭にエドワードジョンストン氏が設計しています。この書体を学ぶことは非常に重要と思えます。。。

参考文献には、カリグラフィを学ぶ上で大事なことはお手本の文字の形をトレースすることではなく、文字を形成している原則を学び個人的な解釈としてアウトプットすることだと書いていて、数年カリグラフィを学んできた自分自身も強くそう思います。

逆に言えば文字の基本構成を理解せずに多書体を学んでもあまり意味がなく、まずはじっくりとこの書体に向き合う必要があるように感じます。ファンデーショナル体をある程度の時間をかけて学んでから他書体に展開していった方が最終的には進みが早い気がします。

カリグラフィ文字の基本はローマン体とも言えそうで、ファンデーション(基礎)を学ぶ事はまずローマン体と向き合うことのようにも思えます。

ローマン体とは?

トラヤヌス石柱記念碑の台座に刻まれたローマンキャピタル

ローマン体は古代ローマ発祥のアルファベット文字の起源と言われている書体です。もっとも可読性に優れ、さまざまなアルファベット書体の始祖の存在とされています。

2000年前の時代にすでに完璧と言えるようなプロポーションを持っており、現代もこの形はほぼ変わっていないようです。この書体から色んなカリグラフィ書体に枝分かれし、また現代タイプフェイスが生まれているという認識です。

まずはスケルトンフォーム(文字の骨格)を理解する

Fig.1
Fig.2

スケルトンフォームについては早めに理解しておいた方が良さそうです。理解せずに進めるとたくさん練習してもイマイチ上手く書けない可能性があり、カリグラフィ初心者はインクで練習する前に鉛筆で形を把握する時間をとったほうがベターな気がします。(Fig.1)はローマンキャピタル体の骨格です。ファンデーショナル体の大文字はローマンキャピタル体を参考に作られていると推察されます。

ローマンキャピタルには大文字しかありません。ファンデーショナル体の小文字はローマンキャピタルが生まれた数世紀後に作られた最初のアルファベット小文字であるカロリン体を参考にして作られたと言われています(Fig.2)。カロリン体はゴシック体やヒューマニスト体にも変化したと言われている書体で、後世に生まれる書体のハブのような存在です。

ローマンキャピタル体とカロリン体の骨格を理解し、現代(19世紀以降)の初心者が学びやすくリデザインされたエントリー書体がファンデーショナル体なのかなというのが現段階での考察です。

文字の形の考察

色鉛筆を使ってファンデーショナル体の形を、大文字・小文字すべて書いて行きます。

スクエアニブの左角を青色、右角を赤色に設定して、2つの頂点がどのように動いて文字を構成しているのかを確認します。

下記文字サンプルは、おおまかな文字の骨格はスケルトンフォームに習いつつ、細かい部分(書き出し部分のカーブや細かい飾りの部分)は柔軟を持たせ独自のアレンジで書いています。

Capital / 大文字 エックスハイト:7 ペンアングル:基本30度

Capital N
Capital H・A・V・T・X・Y・Z・U
Capital G
Capital O・Q・C・D・M・W
Capital E
Capital F,K,P,R,B,L,I,J,S

Small Letter / 小文字 エックスハイト:4.5 ペンアングル:基本30度

Small Letter / a・b・c・d・e・f
Small Letter / g・h・i・j・k・l
Small Letter / m・n・o・p・q
Small Letter / r・s・t・u・v
Small Letter / w・x・y・z

・・・加筆途中・・・