ボタニカルアートって聞いたことありますか?聞いたことはあるけどイマイチどんなものなのか詳しくは知らないって人もいるんじゃないでしょうか??
ボタニカル柄ってよく聞きますよね。なんか植物が描かれているアレね、みたいに思う人も多いと思いますが、ボタニカルアートにもそれなりに発展してきた歴史があって、現代でも市場は大きくないながらも需要がある場面があったりします。
あんまり良く知らないけどボタニカルアートに興味がある、そんな人に向けてボタニカルアートがどんな物なのかまとめてみました。
ボタニカルアートの描き方は?使う画材は何?
普通の植物画と何が違う?

さて、ゆっても植物の絵ってたくさんありますよね。油絵で描かれた綺麗な薔薇の絵だったり、日本画にも植物の絵ってたくさんあります。それらとボタニカルアートって何が違うんでしょうか??
ボタニカルアートにはいくつかルールみたいなものがあって、それが以下です。
- 何の植物を描いているか具体的に説明している
- 実物大で描く
- 背景は描かない
ボタニカルアートって芸術的な価値もあるんですが、元々医療用植物の図版なので、要は何の植物を描いているか、という事がわかるかどうか、というのがひとつの基準になってきます。
この植物はどんな葉の形をしているのか、の葉脈は何本あるのか? どんな花を咲かせるのか、雌しべはどんな形? 雄しべの本数は何本?といったような事ですね。
そういった一つ一つ違うその植物が持つ特徴を説明的に描いていくのがボタニカルアートの定義ってことになると思います。
使う画材は基本的に透明水彩絵の具

ボタニカルアートは透明水彩絵の具で描くのが基本です。もちろん定義は上記の通りなので、植物の種類を説明できていれば必ずしも透明水彩で描かなければいけないって事はないと思います。
ただ植物ってよく見るとうっすら透けている部分なんかも多くて、下に引いた色をそのまま活かしながらいろんな色を重ね塗りしていける透明水彩絵の具で描くのが、植物の質感を表現するのに向いているってことですね。
どんな風に使われている?
そんなボタニカルアートは現代ではどんな用途で使われることが多いんでしょうか?以下にまとめてみました。
観賞用アートとして

レストランとかカフェ、また自宅などの観賞用としての需要があるようです。インテリアの一部って感じですね。スターバックスなんかいくと店舗によってはボタニカルアートって呼んで良いか分かりませんが、植物画アートが飾られていたりしますね。
お稽古ごととして

比較的年配の女性を中心にボタニカルアートを習いたい、という人が一定数います。ガーデニングが趣味の人や街路樹や野草など季節の移り変わりに違った顔を見せる植物に興味を持っている人も多く、自分でも描いてみたいと思うみたいです。
商品のパッケージの絵柄に

化粧品や香水、芳香剤や入浴剤などの商品パッケージにボタニカルアートが描かれていることがあります。主に主成分に植物が使われているような商品ですね。
またお菓子なんかのパッケージにもたまに使われたりするみたいです。他には包装紙(ラッピングペーパー)の絵柄などに使われる場合もあるみたいです。
ウェディングペーパーアイテムのデザインに

海外のウェディングペーパーにはカリフラフィーやボタニカルアートなどトラディショナルな西洋美術の技法で描かれたデザインが多く見られます。日本のウェディングペーパーアイテムも海外のトレンドを取り入れているものも多く、ボタニカル柄が描かれた招待状なんかも良く見かけます。
ボタニカルアートの起源
ボタニカルアートは元々どんな風に始まってどのように発展してきたんでしょうか??ボタニカルアートの歴史を簡単にまとめてみました。
元々は医療用植物の図版として

薬っていろんな植物から作られていますね。どんな植物がどんな病気や怪我に効くのかという事は長い間研究されていていたそうです。例えば東洋の漢方薬だったり西洋のハーブだったり、みたいなものですね。
薬学者ってイコール植物学者でもあったそうなんです。そういった人たちは、どの植物を調合したら良いか、とか実際に使って見て副作用はないかとかの記録を取っていたそうですが、そういった記録を取るための植物図を自分で描いていたそうなんですね。
そういったものがボタニカルアートの始まりと言われています。ボタニカルアートって、元々はお医者さんが描いていたってことですね。
未開の地への探究心として

そんな風に始まったボタニカルアートですが、時代が進むにつれて医療用以外にも使われるようになっていきます。それが大航海時代、いわゆるバスコ・ダ・ガマとかコロンブスみたいな人たちが未知の大陸を目指して大海に進出していった時代です。
この頃になるとアジアにしか生息していない植物がヨーロッパに持ち込まれて、それは当時の人たちにとってはとても珍しく貴重なものだったそうです。
そういった需要を満たすため、また新しい植民地の開拓も含めてヨーロッパの海洋探検家や航海士たちは未開の地、具体的にはアジア方面に向けて航海に乗り出して行きます。その船団には植物学者や画家などが一緒に乗船してオーストラリアなどの珍しい植物を採取して船の中で画家が植物の図版を作成したりしていたみたいですね。

植物学者のバンクスや画家のシドニー・パーキンソンといったような人たちが有名ですね。
植物採取には労力も伴って、その過程で命を落とす人たちもいたそうです。また船上で植物の絵を描く画家も長い航海の末に病気にかかり、祖国の地を再び見ることなく航海中に死亡したとされています。
そこまでしてもまだ見たことのない植物への探究心の方が勝っていたという事なんでしょうか。人間の探究心ってすごいですよね。とにかくそんな感じで航海時代のヨーロッパではアジアの植物への関心や希少価値が高まったことで、ボタニカルアートの需要も増していったそうですね。
芸術的価値として

大航海時代から時は少し流れて、ボタニカルアートは芸術的な鑑賞価値が高まってきます。王族や貴族に召抱えられて絵を描いたり、上流階級の特に女性に対して植物画の描き方を教えたりして生計を立てるボタニカルアーティストが登場してきます。ルドゥーテという画家が有名ですね。

この人は花のラファエロとも呼ばれていて、芸術系ボタニカルアーティストとしては最高峰の技術を持った人とされています。日本のツバキなんかも(カメリアジャポニカ / camellia japonica)という題名で美しいボタニカルアートを描いています。

マリーアントワネットにも絵の描き方を教えていて、薔薇好きだったナポレオンの妻ジョセフィーヌのために描いた「薔薇図譜」は、百数十種の薔薇の絵を描いた美しい植物画集で、現代においてもこれを超えるものはないと言われているボタニカルアートの金字塔とされています。
薔薇図譜に代表されるこの頃の芸術ボタニカルアートは、単純に絵の具で紙に書くいわゆる肉筆画だけでなく、原画を元に銅で版を作って印刷し、最後は画家の手彩色で仕上げる、といったような制作をしていたそうですよ。
まとめ
というわけでボタニカルアートがどんな物なのかをまとめてみました。現代は写真技術の発達で図版としての価値はなくなりつつありますが、僕個人的には写真よりも絵の方が優れている部分もあると思います。
デフォルメして描いた方がわかりやすい部分もあるからです。写真はデフォルメできないですからね。あとは観賞用アートとしての価値。やっぱり人の手で彩色されたものって写真にはない美しさがあって人の目を楽しませる効果があると思っています。
そんなわけで以上です。よければご参考に、それでは~







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