カリグラフィってどんなもの?
カリグラフィは「西洋の習字」です。
例えばワインラベルを見てみるとワインの名前や生産者、生産地などの情報が英文字で色々書かれています。文字の形はそれぞれ多用で、細いペンで書かれたような書体や、なにやら角ばっていて厳かな書体で書かれているものもあります。そして種類によっては紋章も配されていますね。
次にヨーロッパのグリーティングカードを見てみます。カードにはブーケだったり人物など様々な絵柄が描かれていますが、よく見ると文字の形が特徴的なものもたくさん見られます。ひとつのアルファベット文字を華やかに装飾したようなものや、傾斜がついた筆記体のような文字もあります。
こういった装飾的な文字は西洋の習字である「カリグラフィ」という技術です。文字は墨一色ではなく様々な色と様々なペン先や道具を使って書かれます。また文字だけではなく装飾や絵柄も描く総合アートのような技術です。
この技術は元々、主には聖書を作成するために使われたと言われています。
昔の本は全ての工程を手作業で作られていて、増刷するにも1ページ1ページ職人が分担して手書きの習字で書いていたそうです。オリジナル原本を書き写して増刷することから、これらは「写本(しゃほん)」と呼ばれ、次第に宗教の教本や土地の権利書などの重要書類に権威性を持たせるため美しいカリグラフィ文字やイルミネーションと呼ばれる装飾が施されるようになっていきます。
15世紀に印刷機が登場して写本そのものは衰退していきましたが、その美しい装飾性はワインラベルやグリーティングカードの台紙、商品パッケージや飲食店のメニュー文字など、現代でもさまざまな商業デザインに生き続けています。
現代カリグラフィの知識
現代でもカリグラフィの技術を学び、その質の向上・教育・発展に注力しているカリグラファー&団体がいます。カリグラフィに興味を持った時に知っておきたい知識をまとめています。※当サイトの管理者は以下で記載する団体や人物に直接会って指導を受けたわけではありません。情報を共有しながら自身の知識を深める目的でまとめています。
IAMPETH
IAMPETHは1949年設立の、アメリカで最も古い「カリグラフィNPO団体」だそうです。カリグラフィの技術発展と教育、伝統の共有などを目的としている団体で、以下を目標として掲げています。
Michael Sull / マイケル・サル
https://www.instagram.com/michaelrsull/
アメリカのホワイトハウスには筆耕室があり、手書きが必要な書類を全てカリグラフィで書く筆耕士が在中するそうです。マイケル・サルはロナルドレーガン大統領の時代に筆耕士を勤めていたそうです(彼がホワイトハウスに常駐していたかどうかは定かではありません。)アメリカで開発されたポインテッドカリグラフィ、スペンサリアン書体の最も著名なマスター&教育者として知られていて、2020年には日本でもワークショップを行っています。